【事後レポート】オフィス移転で手放した14トンのモノのその後。「資源を、つなぐ!」で生まれた価値は?

2025年、BLUE FRONT SHIBAURAへの本社移転。私たちにとって大きな転換点となったこの夏、もうひとつの大きな挑戦がありました。それが、全社を挙げて取り組んだ資源回収プロジェクト「資源を、つなぐ!」です。
グループ7社・計44部署の社員が参加し、集まった資源は合計約14トン。デスクの奥で眠っていたクリアホルダーや未使用のメモ帳、ついつい増えてしまったビニール傘、読み終えた本……。それらは今、どこで、どんな姿になっているのでしょうか。
「出して終わり」にしないために。私たちが手放したモノたちが辿った、「4つの循環」を追いかけました。
【アスクル】1.8トンのクリアホルダーがペンに生まれ変わるまで
オフィスで最も身近な文房具、クリアホルダー。今回、社内からは約1,850kgという驚きの量が集まりました。これらを受け取ってくださったのは、オフィス用品でお馴染みの「アスクル株式会社」です。
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アスクルが変える身近なアイテムの常識-捨てなければ、それも資源になる-野村不動産グループ本社が大引っ越し【クリアホルダー編】
「消耗品を大量に販売している企業の責任として、資源を循環させたい」
そんな想いから同社が立ち上げた「アスクル資源循環プラットフォーム」で回収された私たちのクリアホルダー。リサイクルが難しく廃棄された17.83kgを除き、ほとんどのクリアホルダーが再び資源へ。リサイクル率は約99%にのぼりました。
回収されたクリアホルダーは、透明と色柄に分別されます。その後、ペレット製造工場へ運ばれ、再生ペレットに生まれ変わります。

このペレットは、再びペンなどの文房具になるだけでなく、水平リサイクルとなるクリアホルダーをはじめ、筆記用具、ファイルなどの文房具、くず入れ、平台車、ヘルメット、消臭剤の容器、洗剤の計量スプーンなど幅広いの商品の素材として採用されています。私たちが「不要」としたものが、形を変えて、誰かの日常を支える「必需品」として息を吹き返しているのです。

【バリューブックス】2,800冊の本が、30万円の「支援」に
今回の資源回収プロジェクトで、金銭的な寄付に繋がったのが「古本」でした。ビジネス書から分厚い辞典のようなものまで多種多様な約2,800冊を回収し、長野県上田市を拠点とする古本屋「VALUE BOOKS(バリューブックス)」へ届けました。
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野村不動産グループ本社が大引っ越し【前編】本棚から社会を照らすバリューブックスの哲学
同社が展開する「チャリボン」は、本の買取額を指定した団体に寄付できる仕組みです。今回、野村不動産グループで回収した古本は約30万円分の寄付金として、上田市にあるNPOを中心に以下の4つの団体へと届けられました。
・リベルテ(障がいのある方の表現活動を支援)
・場作りネット(子どもの人権と健やかな育ちを支援)
・森のライフスタイル研究所(森林活用と生物多様性の保全)
・能登半島地震の被災地復興支援団体
今回のように、回収した本のバリエーションが多様であればあるほど、まとめてどこか一カ所に送ることは難しいものです。ですが、VALUE BOOKSの販路に乗せることで1冊単位で再販されるチャリボンの仕組みを使えば、本そのものではなく買取金額を寄付し、寄付先の団体が本当に必要なものにお金を用いることができます。多様な本が集まる引っ越しという場面にチャリボンの仕組みがうまくマッチしていると感じました。
ただ、チャリボンの本質は単なる寄付ではありません。「どの活動を応援したいか」という「選択」にあります。今回はVALUE BOOKSがある長野県の団体や、より大きなインパクトがありそうな団体を事務局で選定しましたが、次回はぜひ、本を出した皆さん一人ひとりに寄付先を選んでほしいと考えています。
すでに、事務局へ「チャリボンについて詳細が知りたい」と相談が来るなど、関心が高まりつつあります。「この本が、誰の力になってほしいか」を考えるとき、自分以外のさまざまな立場にある人のことを知ったり、本を所有することについて考えたり、きっと少しずつ変わっていくはずです。

【グッドライフ】海の向こうで、子どもたちの「表現」と「安心」を支える
オフィスに集った大量のペン。これらは不用品回収・寄付支援を行うNPO法人「グッドライフ」を通じて、フィリピンへと渡りました。
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NPO法人グッドライフは不用品を、希望に変える-リユースで子供たちに未来を- 野村不動産グループ本社が大引っ越し【文具編】
フィリピンのミンダナオ島には、小学校の子どもたちや先生に文房具が届けられました。実はこの地域、収入は日本よりも格段に少ないにもかかわらず、ノートやペンの価格は日本と変わらず、文房具は「贅沢品」なのです。
「家族が多くて、自分だけ文房具をもらうのをためらう子もいましたが、今回は十分な量があったので『家族の分も持っていっていいよ』と伝えられました」現地からは、そんな報告もありました。

また、旧オフィスで各デスクに備えられていた防災バッグは、群馬県伊勢崎市のNPO法人「アスワード」へ。こども食堂のボランティアをしている学生たちが運搬を手伝い、自分たちで袋の中身を確かめながらアイテムを選定していました。そこにいた一人ひとりが防災について考え、モノの意味を自分事化していく──そんな波紋が広がっていたのが印象的でした。
また、防災グッズの一部は、バングラデシュの難民キャンプにも届けられました。特に喜ばれたのは、手回し式の懐中電灯。夜間のトイレ移動が危険な女性たちにとって、電池不要で明かりを灯せる電灯は、安心して過ごせるために欠かせないものとなっているそうです。

今回の支援を通じて、わかったことがいくつかありました。
・文房具としてペンを多く送っていたが、書くものだけでなくノートも必要であること。
・ある子どものもとに届いても、その兄弟など周りには届かないこともあること。
・不用品も正しく届ければ、世界のどこかで命を守る道具として、必要とされていること
──実際にアクションを起こしたからこそ、見えてきたことがありました。
そんな事実を目の当たりにしたいま、デスクの上にある一つひとつの備品の見え方が、少しずつ変わり始めているのではないでしょうか。
【PLASTICITY】471本のビニール傘。10年後に「なくなること」を目指して
日本で年間約8,000万本が廃棄されるというビニール傘。今回のプロジェクトでも471本が回収されました。この「厄介なごみ」を、洗練されたファッションアイテムへと昇華させるのが、アップサイクルブランド「PLASTICITY(プラスティシティ)」です。
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PLASTICITYが魅せるクールなアップサイクル-捨てなければ、それも資源になる-野村不動産グループ本社が大引っ越し【ビニール傘編】
2026年2月に開催された「みんつなフェス!」では、PLASTICITYがワークショップを開催。そこで使われたカードホルダーの素材こそ、私たちが放出したあのビニール傘でした。傘についていたサビも模様としてそのまま残されており、すべて少しずつ異なる一点もの。職人の手で圧着・縫製された素材は、傘の丈夫さを活かした、美しい質感になっていました。

PLASTICITYの担当者は、こう話します。
「廃棄された傘が素材になってまた出された場所に戻ってくる──実際に循環の円が閉じる場面に立ち会うことはあまりないので嬉しいです。今回は、カードホルダーにつけるビーズやカラビナも海洋プラ素材で統一しました。体験した人からは、『もともと傘ということで軽くて水にも強い』というメリットを感じてくれていたのも良かったですね」

「捨てられたものが素敵になったね」で終わらせず、そもそも「捨てられるもの」を生み出さない。もともと傘があった場所に、形を変えて戻ってくるサイクル。そんな本質的な循環を、ワークショップを通じて子どもたちも肌で感じてくれました。
私たちは「ごみ」を捨てたのか、「資源」を繋いだのか
今回のプロジェクトを通して見えてきたのは、希望だけではありません。回収時には、残念ながらルール外のモノや、明らかに「ごみ」として出されたものも混ざっていました。また、回収された本や文房具の中には、一度も使われていない新品が数え切れないほどありました。
「自分のもの」ではないから、分別のルールを少し無視してもいい。
「自分のもの」ではないオフィス用品だから、とりあえず多めに注文しておく。
そんな「所有の曖昧さ」が、本来なら生まれなかったはずの廃棄物を作っていたのかもしれません。
モノを出す先には、必ずそれを分ける人、使う人がいます。今回、14トンの資源を「つないだ」経験は、私たちに「モノの持ち方・捨て方」を問いかけています。
「捨てればごみ、活かせば資源」 この言葉を、単なるスローガンではなく、自分たちの実感として。BLUE FRONT SHIBAURAでは、まず「ペン一本、傘一本」を大切にすることから始めてみませんか。