つまり「幸せと豊かさ=ありがとう」?336人の本音が交錯したビジョン研修で部長・室長・店長たちが見つけたシンプルな指針


- お話を聞いた方
– 谷川 彰史さん
野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 レアリア東京
– 西野 史雄さん
野村不動産株式会社 住宅事業本部 インテリア事業部– 新原 琢二さん
野村不動産パートナーズ株式会社 ファシリティマネジメント事業本部– 金谷 有希子さん
株式会社プライムクロス クリエイティブ本部
前編では、ビジョンの策定と研修の企画者である経営企画部小野さんとグループ人事・人材開発部村田さんに、価値創造の意義や研修の設計について伺いました。
後編では、実際に研修に参加した管理職の方々が何を感じ、どのような変化が始まるのか、リアルな声を紹介します。
「あなたにとっての“幸せと豊かさ”は何ですか?それを突き詰めるビジョン研修を行います」
それぞれの現場で多忙な日々を送る336人の部長・室長・店長に投げかけられたのは、事業戦略や数値目標ではなく、一見すると仕事とは無関係の怪しげな(!?)問いでした。
この案内を受けた参加者の多くは、「これまでの研修は“問題解決力強化”などスキルアップ目的が多かったので、ビジョンについて語るのは初めてで・・・正直、何が始まるんだろう?」という戸惑いと期待で当日を迎えたそうです。
圧倒的熱量!経営トップの姿勢が、部長たちを前のめりにさせた
いつもとは様子の違う研修の案内があり、ザワつく部長・室長・店長たちに変化をもたらしたのは、経営トップの明確な姿勢でした。
谷川(野村不動産ソリューションズ):
ビジョンを“全体説明会”だけで終わらせず、“3時間の研修”にまで落とし込むということは、会社は本気だぞ!と直感しました。
これほど大勢で丁寧に時間をかけてビジョンについて主体的に考える機会が設けられるのは初めてですし、新井グループCEOや松尾グループCOOが部店長会などで繰り返し積極的に発信していたこともあり、「ただの標語ではなく、本当に浸透させようとしている」という本気の熱意が研修前からたっぷり伝わってきました。

新原(野村不動産パートナーズ):
谷川さんがおっしゃるようにわたしも経営トップの姿勢に影響を受けましたね。各社からの問いかけに一つひとつ丁寧にそして真剣に語る姿を見ていたので、我々も研修を通してビジョンの意味としっかり向き合おうというスイッチが入りました。
対話から生まれた、それぞれの「幸せと豊かさ」と「仕事」の新しい関係
研修の中心となったのは、「個人の幸せと豊かさ」を起点としたグループでの対話です。
金谷(プライムクロス):
正直、最初はこっ恥ずかしかったですね。
普段の業務でも雑談でもなかなか「どんな時が幸せ?」なんて会話をする機会はないので、改めて自分を見つめなおして言葉にするのも、人の考えを聞くのも、とにかく新鮮でした。

「家族と過ごす時間」「旅行先で見た景色」「美味しいものを食べたとき」など、研修の場に集まった皆の個人的な体験が共有され始めると、すぐに照れくささは消え去り大きく頷く自分がいました。わたしは仕事こそが生き甲斐というよりも「仕事とは、幸せを実現するための大切な土台」なんじゃないかと気づきました。
対話を通して多様な価値観に触れることで「自分にとって仕事とは、幸せとは何か?」これまでなんとなく頭にはあったことをしっかり認識する手助けとなりましたし、たくさんの幸せの形で溢れていることを知ることができました。これは一方的な説明会だったら得られなかった発見ですよね。
壮大なビジョンは超具体の自分事だった、読み解く鍵は異口同音の「???」
個人の幸せと豊かさを起点とした対話は、やがて「自分たちの仕事から発展する幸せと豊かさ」にテーマが進みます。多くのグループで、「お客様からの感謝」について声が挙がりました。
西野(野村不動産):
結局、仕事の原動力は、お客様から「ありがとう」と感謝されることに尽きますよね。
新原:
そうですね、お客様の期待に応えて評価されることが最大の励みになる。その励みを糧に、さらに自己研鑽や企業努力が加速し、さらなる「ありがとう」が生まれます。もちろん、お客様だけではなく、多くの社内外の協力者との関係も感謝で成り立っているのではないでしょうか。

今回お話を聞いた4人からは、この「感謝」という共通の価値観こそが、「幸せと豊かさを最大化する」という、ともすると壮大で抽象的とも受け取れるビジョンと日々の具体的な業務とを結びつけるキーワードだったのです。
金谷:
個人の価値観と組織のビジョンのつながりが、自分なりに根拠付けできて腹落ちした研修でした。
現場レベルでも探究が始まる、ワクワクする未来を創るための対話のコツ
対話型研修を通しビジョンを自分事とした参加者の面々は、それぞれの部署で新たな取り組みを始めているようです。
金谷:
まずは身近なところからですが、メンバーの成長実感をより大切にするようになりました。
やりがいや達成感は、「あなたの~~なスキルを活かして欲しいからこのプロジェクトを任せたい!」という瞬間にだけに存在するのではなく、プロジェクトが終わった後のフィードバックでこそ深まるはず。そう考え、これまでは開始時に重点を置いていた動機付けに加え、終了後に「あなただから乗り越えられた」といったように丁寧な振り返りを一層意識して実践しています。
谷川:
わたしも、以前から日々のコミュニケーションを大切にしています。
堅苦しい面談ではなく、雑談の中で「幸せって何だと思う?」と早速部下に問いかけてみました。その時には、新井グループCEOもビデオメッセージでおっしゃっていたように、まずは自分から考えを開示することで、相手が話しやすい雰囲気を作る対話を心がけています。
「豊かさって何だと思う?」だと漠然とし過ぎている場合は聞き方にも工夫をしました。例えば「心の豊かさはどんな時に感じる?」と問いを噛み砕くと、利益拡大などよりもストレスなく働きたい、自分らしいチャレンジがしたいという話が広がりました。対話を通じて、メンバー一人ひとりの価値観を理解していきたいです。

西野:
うちは多くのメンバーが所属する部署ですので、組織的なアプローチを進めています。
部長である自分だけが腹落ちしていても意味がないので、いち早く部下全員にこの気づきを広げるため、外部パートナーとも連携して11月に独自の“部内ビジョン研修”を行います。その研修の中身について、課長たちと「どうすればメンバーが自分事として捉えられるか」今まさに議論しているところです。11月の部内ビジョン研修時には、部員から当たり前に大切にしたい幸せや驚くようなアイデアなど、多様な対話が生まれることが今から楽しみです。

新原:
研修の内容を共有したことをきっかけに、今嬉しい変化が生まれています。
メンバーから自発的に「僕たち自身がワクワクしながら仕事をしないと、その価値は外に伝わらないですよね!」という声があがりました。ワクワクする仕事の取り組みとして、当社の顧客ニーズを積極的にグループ会社に連携するという活動を推進しております。結果、それを起点にグループ全体や社会全体を巻き込む大きな仕事につながっていく。さらに、自分の担当するお客様から感謝される。そんな新しいワクワクがつながることで、多くの社員達が「幸せ」になりますよね。
あなたの幸せと豊かさが、自分を、まわりを、社会を動かす
今回の研修は、参加した管理職一人ひとりにとって、ビジョンと自分、そしてメンバーとの関係を改めて見つめ直すきっかけとなりました。事業内容や所属部署は違えど「感謝が原動力」という共通の価値観が見出されたことは、野村不動産グループの根底に流れる想いを再確認する機会にもなりました。
「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ - 幸せと豊かさを最大化するグループへ -」という2030年ビジョンを、それぞれの持ち場でどう解釈しどう活かしてどんな在りたい未来像へ近づけるのか。今、目の前にいる人だけではなく、例えば地球の裏側に暮らす人々の、例えば300年先の子孫たちの、そんなまだ見ぬ膨大なステークホルダーの「幸せと豊かさ」をも最大化できる可能性を大いに秘めています。
・・・「あなたにとっての幸せと豊かさは何ですか?」
